今回は、副業で行政書士を目指す方が知っておくべき現実と、実際に成功を収めている方々の共通点についてお伝えします。
この記事を読めば、副業行政書士として活動する上での課題と、それを乗り越えるための具体的なヒントが得られるでしょう。安易な気持ちで資格取得を考えている方も、すでに活動を始めている方も、ぜひ今後の参考にしてください。
副業行政書士の現実
副業で行政書士になり、いつか会社を辞めたい。
もしそんな風に思ってらっしゃるんでしたら、今すぐその幻想は壊しておいてください。本業と両立しながら片手間で資格を取って、いずれ独立という夢を描く人は多いんですけれど、現実甘くございません。
私の周りでも副業で行政書士を始めたけれど、1年で廃業しました。開業したはいいけれど、誰にも頼まれず名刺だけが減っていく、そんな声珍しくございません。
では、その人たちは何が違ったんでしょう。どこで道を分けたのでしょう。
今回は現役の行政書士として、そして実際に副業をスタートから軌道に乗せた人たちを見てきた私が、副業で行政書士は本当にありなのか、成功者の共通点と共に包み隠さずお話しします。
例えばあなたが30代後半、このままの会社で60までやっていけるのかしら、そんな不安がふとよぎる時はございませんか。家族もいて守るものが増える中、転職はリスク高いですよね。
何か資格を取れば将来の道が開けるんじゃないか、そうして目につくのが行政書士という国家資格でした。法律系で難しそうだけど、独立開業もできるらしい。
しかも在宅でも仕事ができて、副業にはぴったり。YouTubeやSNS等では、合格開業月何万円の事例が並んでいる。気づけば自分の未来に行政書士という選択肢を置いている。
けれどここで立ち止まって考えてみて欲しいです。副業で行政書士目指す方多いですけれど、その後どうするかまで見てらっしゃる方少ないです。
資格取得後、どう集客されますか。本業との両立で本当に受任できますか。家族はどう思われますか。副業がバレるリスクはございませんか。
行政書士という資格は、取ることよりもどう使うかが9割です。そしてそれは副業組にとってはさらにハードルが高いです。この後、副業行政書士がぶつかる現実を具体的にお話ししてまいります。
副業行政書士がぶつかる3つの壁
ここからは実際に副業で行政書士を始めた方がどんな壁にぶつかるのかを具体的に見てまいります。
1つ目の壁、時間がない。
副業で行政書士をやるということは、本業が終わってからが本番となります。平日は夜間に書類作成をし、土日は面談や相談対応。しかし、そもそも疲れきった頭と体ではどこまでクオリティ保てますか。さらに観光所が平日昼間しか空いていない案件の場合、建設業許可の相談や在留資格の更新等、副業時間では処理しきれない業務もございます。
2つ目の壁、集客ができない。
行政書士は営業されない士業です。つまり名乗るだけでは絶対に仕事が来ません。しかも副業ゆえにSNSやブログで顔出し、実名で発信は難しいというケースも多いです。結果、開業したはいいけれど、誰にも存在を知られず終わる方が続出しています。
3つ目、収益が出ない。
ぶっちゃけます。副業レベルの稼働では、開業初年度の利益はマイナスです。
登録費用、備品、ホームページ、書籍、研修、それにに見合う売上を限られた時間内で稼ぐのはかなり厳しいです。
副業だからリスクを抑えて始められる、それは間違いじゃないんですけれど、副業だから稼げなくて当然という甘えが入りやすいのも事実です。しかし、そんな厳しい条件の中で、それでも結果を出す方はいらっしゃいます。何が違うんでしょうか。
成功者に共通する3つの資質
ここまで聞いて、やっぱり副業無理かも、と思ったかもしれません。でも、厳しい環境でも結果を出している方が実際にいらっしゃいます。その方たちに共通する3つの資質がございます。
戦略的に時間を切りとれる方
副業の成功において最大の鍵は時間の使い方です。
なんとなくSNSを見る、研修動画を垂れ流しで聞く、そんな無駄を許さない時間設計ができますか。
成功している方は朝30分は執筆をする、通勤中は業務特化の音声教材を用いる、週末は面談予約を3本入れるなど、売上直結の行動にしか時間を割いていらっしゃいません。
隙間時間はただの幻想です。副業で稼ぐ方は時間を絞り出して使っていらっしゃいます。
発信を恐れない方
行政書士は営業されない士業です。だから知られないのは存在しないのと同じですよ。
副業だからこそ発信力が命です。顔出しNGでもブログやXで専門性をアピールしましょう。
実名でなくても誰に何を届けたいか明確なアカウント運用をしましょう。
本業の経験を生かした自分だけの切り口を持っていらっしゃいますか。実際ブログで記事を書いていたら仕事が来た、YouTubeで顔なしで発信をしていたら相談依頼が増えたというケースも多々あります。
資格だけ取って名刺配ればオッケーなんて時代はとっくに終わっています。
資格を道具と割り切れる方
これ意外と盲点なんですけれど、副業で成功する方ほど資格に夢を見てらっしゃいません。
資格取ったら人生変わる、独立すれば収入も自由も手に入る、そんな幻想を特に捨てています。
むしろ本業のスキルと掛け算し業務を絞る、本業の顧客に追加でご提案できるよう資格を生かす。
資格は食えるじゃなく稼げるように使うものと理解しています。だからこそ副業という限られた環境でも着実に収益化ができているんではないでしょうか。
リアルな成功事例
ここまで聞いて、結局理想論じゃねえの、そう思った方もいらっしゃるかもしれません。だからこそ最後に、実際に軌道に乗せてきた方のリアルなお話を紹介しておきます。
ある40代男性は、平日は建設会社で働きつつ、週末に建設業許可申請に特化した副業行政書士として活動されていました。本業と実務が同じですので知識が活きます。
業界の知人づてに最初の依頼が発生しています。開業半年で月5万の副収入に安定化しています。最初の顧客はすでにある人脈の中にいらっしゃいました。
発信で信頼を築いたパターンもあります。
平日は営業職、顔出しができない状態だった30代男性です。
彼はノートとスタンドFMで身近な法律トピックを音声、文章で毎日発信していらっしゃいました。毎回の投稿に専門知識を落とし込み、最初は趣味程度だったようなんですが、じわじわDM相談が増えていきました。開業から1年で話を聞いてみたいと月2、3件の契約が発生しています。
露出できないイコール無理ではない、届け方を工夫すれば信頼が築けるという好例ではないでしょうか。
本業で年収800万円のサラリーマンが、稼ぐための副業ではなく退職後の布石として開業しました。
副業としては行政書士業務を最低限にとどめ、経験値を蓄えるスタンスを貫いてらっしゃいました。
平日夜に相談を受け、書類作成は月に1、2件でした。儲けは少ないが、事業として土台作りに徹しておりました。
3年後、本業をセミリタイヤし行政書士に移行しております。今すぐ稼ぐではなく、未来の土台作りとしての副業成功例です。
こうした方たちに共通するのは、最初から全部を手に入れようとしていないことです。時間がないならないの使い方、顔出しできないなら別の信頼構築方法を選ぶ、すぐに稼げなくても続ける仕組みを作る。だからこそ副業というハンディキャップを超えて結果を出せたんではないでしょうか。
まとめ
- 副業行政書士は、資格を取ることよりも、いかに「使うか」が重要。
- 時間の制約、集客の難しさ、収益化の厳しさなど、特有の課題がある。
- 成功者は、時間を戦略的に使い、発信を恐れず、資格を道具と割り切る。
- 本業の知識や人脈、地道な情報発信が副業成功の鍵となる。
- すぐに稼ぐことよりも、将来を見据えた土台作りとして取り組む道もある。
副業で行政書士は、資格さえあれば稼げるなんて都合のいい世界ではありません。
けれど、自身の時間を見直し、スキルを組み合わせ、発信を恐れずに動ける方には、確実に武器になる資格でもあります。
大切なのは夢で止めないことです。資格取得も開業もそこからが本当のスタートです。